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  美しさの中に(2)  和達清夫(地球物理学者)

  • 執筆者の写真: nhashimoto1991
    nhashimoto1991
  • 2021年7月14日
  • 読了時間: 2分

 さて ,いまの自然環境は,実は人工環境ともいえるくらい人の手がは

いっている。美しい森も川も原始のままではない。青田に小川が流れシ

ラサギの遊ぶ風景も人工環境といえよう。しかし、人の手が加えられて

も,それが自然の循環をさまたげないほどの状態になっている場合は,

自然環境といっても差支えないであろう。昔はだいたいそうであった。

しかし現代ではこの様相は一変して,人間のすることは自然に吸収され

ず,自然と対立する人工環境をつくっている。

 いまの社会では人工環境は,できるだけその中に人工的の循環をつく

り,自然環境を害しないようにしなくてはならない。ますます多くなる

廃棄物は,自然の中に捨てるのでなく ,再生産することを考え,人工環

境の中で始末すべきである。

 すなわち工場から出る廃棄物も,生活から出るゴミも不用品も,これ

を集め,えり分け,それを新しい資源として何か役立つものにすること

によって,物質を人工循環系の中におき,自然の中にむやみに捨てるこ

とをやめることである。

 そうした努力をしなければ,今後も進歩しつづけるであろう科学技術

は,人間の幸福に役立たず,むしろ不幸を招くものとなろう。

 人にはそれぞれ欲望がある。それを満すことは幸福といえよう 。ただ

その幸福がどんなものかということである。人びとが,新しい文明を築

き,たえず前進するとき,つねに自然との調和をはかり, 美しい自然を

保全し,その中に真の幸福を求めようとするためには,近ごろのあまり

に目前の欲望を追う傾向は,反省され転換されねばならないであろう。 ~

 美しさの中にこそ人生の本当の幸福がある。そしてそれを求めつづけ

るのが,生きがいというものではなかろうか。

                 1971月12月 『水利科学』82号



 
 
 

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