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執筆者の写真nhashimoto1991

精神復興のための政治改革        2005年7月

  今日、緊急になすべきことは、日本人の精神復興のための政治改革である。今の日本は危機にある。京都大学の中西輝政教授は次の4つの問題点を著書『国民の文明史』の中で指摘している。

 1.人口構造の問題

 出産率が大きく低下し深刻な少子化問題が浮上。人口動向について長期的にも悲観論が台頭。

 2.財政破綻。

 日本の財政が立ち行かなくなっている。

 3.政治の弱体化が進行し、ここ10年あまり国としての意思が何一つ実行に移せず漂流を続けている。財政改革はおろか、政党内の意思さえ一つにまとめられない「政治の大崩れ」が進行している。

 4.モラルや教育の退廃が急速に進み、治安の悪化が深刻化。

 マスコミ報道でも、ニートの増大、すぐに切れる子供、子供が子供を殺す、子供が親を殺すなど凶悪化する少年犯罪が報ぜられ、今の日本は世も末だという状況である。

  では、どうすれば、こういった状況より日本を救うことができるだろうか。 救国のためには日本人の精神復興のための施政が必要である。精神が復興すれば、文明、社会、国家が蘇る。

 ヨーロッパで中世の頑迷なキリスト教社会から近代にどのように変わったか。古代ギリシャ、ローマの古典研究によって、まずルネサンスが起こり、キリスト教の世界観を批判する合理主義、実験と観察に基づく自然科学的な認識の深まり、新しい技術に対する進取的な態度がヨーロッパを近代へと変えていった 。

  また日本も同様である。なぜ江戸時代の鎖国から、世界史の大舞台に登場できたのか。明治維新に先立ち、日本精神の復興運動が起ったからである。賀茂真淵、本居宣長という国学者が出て、それまで顧みられなかった古事記、万葉集などの古典を研究し、日本精神の尊さを訴え始めることにより日本民族の実存の目覚めとなり、維新の原動力となった

  最近では、英国病で苦しんでいたイギリスでサッチャー政権が教育改革を中心とする精神改革を行うことで、イギリスに活力を取り戻した。

  私が強調して訴えたいことは、日本人の精神さえ復興したら、日本は蘇るということである。そのために政治は何をすべきなのか。私は次のことが必要であると思う 。

1.日本国憲法の改正

 今の憲法は連合国軍総司令部(GHQ)が占領時、GHQが、わずか1週間という短期間で書き上げ、日本に押し付けたものである 。この憲法を改正し、日本人自らの手で憲法を作ることが精神の復興となる。 また21世紀に入り新しい時代にふさわしい憲法を日本人の手で作ろうという創造的精神によってこそ、未来を切り拓いていくことができる 。

 2,教育基本法の改正

 教育基本法も憲法と同様に占領時にできた者である。形式上は日本の議会が承認したことになっているが、実際にはGHQの指示と影響下にあった。元々は「教育に関する勅語」と対に考えられていた法律であるが、後にGHQの命令によって教育勅語の失効排除決議が国会で行われた。そのため、この法律の内容は、教育の機会均等、9年間の義務教育、男女共学等、今日では常識的内容であるが、日本の歴史、伝統、家族、地域の絆、愛国心、宗教的情操の大切さなどが触れられていない。教育基本法を変えても教育現場は何も変わらないという人もいるが、大切な点は、憲法改正と同様に、日本人の手による法律制定が日本人の精神の復興につながるということである。

 3.偏った歴史教科書の是正

 歴史教育は、どこの国でもその国を支える最重要の柱の1つである。子供が、先人たちが一生懸命それぞれの時代で生きていたことを学び、自分が祖先から繋がっている実感があってこそ、日本国民としての自覚が生まれ、愛国心が湧いてくる。今の歴史教科書はそのようには記述されていない。したがって偏った歴史教科書を是正するため教科書検定、採択の適正化を目指すことが必要である。

  精神が復興さえすれば、あるいは復興への努力の過程、反対勢力との戦いの中で、冒頭の中西教授の憂うる問題を解決しようとする勇気、力、信念が国民の内側から湧き上がってくるであろう。国民の価値観が変わり、日本は新しい時代を迎えるであろう。

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