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執筆者の写真nhashimoto1991

私の師、財津正彌先生について、触れています。

道徳教育の重要性


  他人と共に生き、生きがいのある幸福な人生を歩む上で、活力や心の拠り所となる道徳は、社会人として生きるための規範や人生の手本を示すことによって生まれる。道徳教育は、社会の規範が希薄で、将来への展望が見えにくく現代において、若者が社会に希望を抱くだけでなく、壮年が活力を持ち、老年が充実した晩年を送るために不可欠である。不確実な世の中であるからこそ、道徳教育は、社会性を持って生きるための規範を育成する直接的なものと、先人の人生や物語を通じて涵養することの両輪が重層的に、段階的に行われることが肝要である。そうした取り込みを通して、道徳教育は、私たちの生きる社会において尊ばれる精神、感謝の心や思いやりの心、自立の心などを様々な形で提示するだけでなく、自身の心のあり方や生き方を自ら考えさせ、実践する力を育む。私自身は、主に次の3つの段階の道徳教育を受けてきた。

  第1の道徳教育は、両親、祖母、近所の人や学校の先生など身近な人から受けた。それは「嘘をつくな」、「正直であれ」、「弱い者いじめをするな」、「お年寄りを大切にしろ」、「ものを大切に使え」、「生き物を大切にしろ」など、価値観を躾けるものである。繰り返し言われ刷り込まれ、実践していないと叱責されたこれらの価値観は、生きる上での根底を成すものとなった。

  第2の道徳教育は、学校で受けたものである。困難に負けず努力していくこと、世のため人のために生きることの大切さと尊さとを、物語や古典を介して学んだ。小学校の道徳の授業では、努力を重ねて大成した画家の橋本雅邦や、あきらめず何度も挑戦して真珠の養殖に成功した御木本幸吉、オランダ語の辞書を2部書き写して勉強した勝海舟の人生が大変に印象に残っている。また、高校の漢文の授業では、『論語』『大学』『荘子』等を通して、学問、正義、社会、人とのあり方などを考えるようになった。

  しかし私には、学校教育は結果として大きな悪影響を及ぼした。小学校3年生頃まであった道徳の授業はわくわくとした刺激を与えてくれたが、社会党、共産党が支持する知事が当選した後は、道徳の時間はほとんどなくなった。加えて、日本教職員組合の影響の強い教師から、皇室や日本の精神、価値観を否定する教育を受けた。私は、祖先が父方、母方ともに伊勢神宮に近かった縁で、幼い頃から伊勢神宮の行事に参加するなどして、元々は神話に親しんでいた。私は、これらの価値観を否定され、高校生の頃には日本の歴史や精神、そして社会に対して、かなり否定的、懐疑的な考えをするようになっていた。

  この考えを180度転換させたのが第3の道徳教育である。私は、大学生の時に「キリストの幕屋」に所属するクリスチャンの友人に出会ったことをきっかけに、聖書の信仰で生きることを選んだ。キリストの幕屋とは、内村鑑三が提唱した無教会主義の精神を受け継ぐクリスチャンの団体で、「我らは、日本の精神的荒廃を嘆き、大和魂の振起を願う」「我らは、キリスト教の純化を願うが、日本の他の諸宗教を愛し、祖師たちの人格を崇敬するものである」「我らは、政党・政派を超越して、愛と善意と平和をもって、日本社会の聖化を期し、社会正義と人間愛を宣揚するものである」などを信条としている。私は、大阪の伝道拠点の青年寮に入り、大阪で伝道していた財津正弥氏の側で信仰を学んだ。財津氏は、戦前は海軍航空隊に所属しており、神風特攻の順番待ちで終戦を迎えた。氏は、日本が敗戦したために、命を懸けた戦った戦争が「侵略戦争」として否定され、結果、目的のない自棄的な生活に落ち込んでいたが、ある牧師を通じてキリストの信仰を持つようになった。

  キリストの愛と日本精神とに赤々と燃えた財津氏の人格に感化された私は、聖書の信仰と同時に日本精神の尊さを学んだ。そして吉野や湊川神社、水戸などを訪れ、楠木正成、正行、吉田松陰、水戸光圀らが皇室を尊び、公のために生きたことを学んだ。私は皇室と日本の精神の尊さを再発見し、自覚するようになった。私が財津氏から学んだことは、今に至るまでの私の生き方であり、行動の指針である。

  第3の道徳教育の最も大きな成果は、中学校の歴史と公民の教科書を発行する扶桑社で発揮された。教科書発行と採択活動とは困難な仕事であった。採択が伸びないために、幾度となく発行停止になりかけた。逆境の中でも事業を継続し、教科書を中学生に届けることができたのは、財津氏から学んだことが大きな支えとなったからである。また、教科書宣伝のチーフとして全国の教育委員会や学校を訪問し、各地の心ある方々と接したことは喜びであり、貴重な経験となった。

  このように、道徳教育は、私の人生の歩みに大きな影響を及ぼした。私の経験をもって生徒に接し、生徒の道徳を涵養することで、生徒の成長に役立つことができると考えている。

                                  2015年11月


 

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